その1

　WII（ダブリューツー）は私の知り合いMの職場にいる。WIIは私の知り合いMの先輩である。知り合いMから話を聞くと彼の言動はとにかく面白く、人間の思考回路の欠陥がどのように生じるのか、ということを常に考えさせてくれる。愉快なWIIの毎日を紹介しよう。

　WIIが働く職場の更衣室にはシャワールームがある。衛生管理上、毎日必ず仕事の後にシャワーを浴びてから帰るのだが、そこにはタオル掛けが置いてある。更衣室を利用するのは5人、そしてタオル掛けには6本の棒（掛けるところ）があるそうだ。普通に計算すればひとつ余るはずだが、なぜかいつも全て埋まっており、それどころかときどき足りないことがあるという。

　Mによれば、ある時WIIが言っていた。「毎日タオルを1本ずつ使うだろ？使わないの？だから俺のタオルは5、6本あるんだよ。」すなわち他人のことなど全く考えず、必要に応じて使えるだけ使っていたのである。彼にとって、余っているスペースは早い者勝ちで必要とする人が使って良いことになっている。そのとき、他の人の都合や公平性など考える必要は無いらしい。

　WIIは公務員である。

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